わたしたちは遣わされた

ヨハネによる福音書　20章19～23節

　本日は聖霊降臨日。聖霊降臨、おめでとうございます。今日は「教会の誕生日」とも表現される聖霊降臨日。この日、エルサレムの弟子たちのところに実際に聖霊が遣わされ、弟子たちが様々な国の言葉で語りだした様子が使徒言行録に語られています。福音書では復活のイエスが弟子たちに息を吹きかけて「聖霊を受けなさい」と言ったところが読まれました。イエスは弟子たちに聖霊を送る前に「父がわたしをお遣わしになった通り、わたしもあなたがたを遣わす」と言い、聖霊を送った後で「誰の罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。誰の罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」と言います。

イエスが弟子たちに「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす」と言っていることに注目しましょう。まず、イエスが父なる神に「遣わされている」ということは明白ですよね。イエスは父なる神が、わたしたちのところに遣わした。何のためかと言えば、多くの人々に「神の愛」を示すためです。イエスが人として生きて働くことによって、神さまが人にどのように生きてほしいのかを教えています。だからわたしたちキリスト者は多かれ少なかれ「キリストに倣って」生きることを大切にしています。そこまではよくわかることですが、さらにイエスは「わたしもあなたがたを遣わす」と言っているのです。

「遣わす」とは、何らかの使命を持ってどこかへ行ってもらうことを示す言葉です。父なる神がイエスを遣わしたのは「わたしたち人類のため」ですね。もう少しかみ砕いて言うと「イエスという手本を遣わすことによって、多くの人が神を向く生き方に戻すため」です。もっとざっくり言えば「イエスを手本にした人が増えると、もっと生きやすい世の中になる」というくらいの意味になります。「イエスによって人を変える」それによって「世の中を変える」というわけです。少し迂遠なやり方に見えますが、これが神さまがとったやり方なのです。でも、それだけで終わりというわけではありません。さらに、イエスによってわたしたちも遣わされることになっているからです。

イエスはわたしたちを遣わします。「わたしたち」というのは誰か、と言えば「イエスという手本に出会って、生き方を変えた人」です。洗礼の有無というよりも、イエスに出会うことによって「人のために何かをするようになった人」のことです。そして何のために、と言えば「わたしたち人類のため」です。「イエスを手本にした人をさらに手本にした人」が増えることで「もっと生きやすい世の中になる」ということですね。

神さまは人間の創造の時、一人で生きるのではなく、助け手と一緒に生きるようにしました。それは一方的に助けてもらうのではなく、お互いに助け合うためです。イエスの言葉で言えば「互いに愛し合う」ためです。それが人の本来のあり方だと、神さまは認識しているのです。だからこそその手本としてイエスが神によって「遣わされ」、そしてイエスを手本にしたわたしたちがさらに「遣わされる」ことによって、ますます多くの人に神さまの愛が届くことになるのです。

そして、そのために必要なのが、今日、再びわたしたちのところにやってきた「聖霊」の力です。「聖霊」はわたしたちにいつも力を与えてくれます。「聖霊」はわたしたちの「呼吸」です。祈り、わたしたちの中の「息」に目を向けるとき、聖霊はわたしたちを強めてくれます。その力によって、わたしたちは「この世」に「遣わされ」て、キリストに倣った生き方をすることになります。決して一人ではなく、「聖霊」がいつも一緒にいることを感じて、今日も生きていきましょう。